写真日記@ミサンガ90日目

人の怒りというものは、大抵の場合、自分の思い通りにならなかった時にわき上がる感情だと思っている。
例えば、こうしたんだから、相手はこうしてくれるだろうという勝手な期待。
一度、こうこうこうでこうだから、こうなんだよ、と教えたにも関わらず、二度三度と同じ誤ちを犯された時など。
そういう時に人は怒りという感情を抱くのだと思う。
少なくとも私はそうだ。
 
相手がいれば、ふとした引き金で怒鳴り散らすように思いつく限りの言葉をはき出して、相手を傷つけ、後でなんでそんなこと言ったんだろう、もっと別の言い方があったのにと自分自身も傷ついてしまうこともある。
相手がいない場合、例えば自分が今度は同じ誤ちをしないぞと強く思ったにも関わらず、時間と共にその決意が薄れ、忘れたころにまた似たような誤ちを犯したり、大切な人や物が傷つけられた時に、どこにぶつけたらいいのか解らない苛立ちによって終始苛々してしまうこともある。
 
そんな感情に今日陥っていた。
ここ連日して自分の犯した誤ち、二度寝による寝坊により今日も寝坊し、まずは軽く苛立つ。
でもそこで苛立ってしまうよりも対策を講じる方が的を得ているというもの。仕方無い。
 
そして大切な人が傷つけられたことを知る、またその大切な人も取って欲しくない行動を取っていた。
大切な人に対してどうすることも出来ない自分の無力さに苛立つ。
それは今すぐにはどうすることもできないという事実、現実、無力、無能にまた苛立つ。
とりあえず落ち着けと目を閉じ瞑想なんてしてみる。
しかし、冷静に考えているつもりでも怒りの感情からくる苛立ちを押さえることはできなかった。
 
次なる対策として気分転換に外出することにした。
こんな時にスピードの出る車やバイクに乗ると、自分の性格からして法定速度をゆうに越える無謀な走りをしてしまうことも多い。
したがって、本当はバイクで出かけたいけれども、自転車に出かける事にした。徒歩という選択肢はこれまた性格上まずないからだ。
 
向かったのは、コンビニと本屋。
頭に浮かんでいる嫌なイメージを払拭するには、マンガとか小説などで、新たなストーリーを得て頭のなかでそれらをイメージすることで、脳の許容範囲が小さい自分は簡単に目の前のストーリーをイメージすることでそれらをしばらく考えずに済むからだ。
その作戦は、今回もみごと良い具合に働いて一時期、頭の中は新たに得たストーリーにより、その苛立ちの根源の情報を払拭していた。
 
しかし問題はその帰り道に起こった。
 
本屋を出た時には、既に周りは日が落ち暗くなっていた。
家を出る時にも既に闇がかっていたのでそれは想定内。自転車にまたがり、ライトもセットし、暗い店外へでたばかりなのでゆっくりと自転車をこぎ始めた。
しかし、狭い駐車場で何を急ぐ事がるのか一台の車が勢いよく、物陰から出てきた。
幸い、こちらはスピードも出していないので、一瞬驚きはしたが、急ブレーキは間に合い、接触することはなかった。が、急ブレーキと驚きでふらつきこけそうになる体を支えるので一杯だった。
が、車は接触してないと解るとすぐに走りさってしまった。ふらついていた私は車のナンバーを確認する暇さえなかった。
ここでこれまでの怒り、苛立ちが再びフラッシュバックし、それは幾分倍増した量に感じられた。
 
車はすでに店の駐車場になく、この苛立ちはどこにぶつけたらいいのか。
やり場のない感情を自転車のギアに委ね、一番重いギアにし、疾走することで疲れと共にその感情も払拭できるのではないかと期待して疾走したが、最後の糸を切られる瞬間はそのすぐ後に訪れた。
 
自転車のギアを一番重くし、疾走していても、広い歩道と言えども対向する歩行者や自転車はあるし、信号もあるので、そこまで本気でペダルを漕げる距離も限られている。
それは信号待ちをしている時に起こった。
50ccの原付の集団がやってきた時だった。
初めのうちは単車を弄っている集団が来たのかと思ったのだが、よく見ると原付の集団。それも一台一台が五月蠅い。
 
何を弄る事があるんだ、マフラーまで弄りやがって、さらには信号待ちの間もふかしていやがる。
どうせ、もうすぐ寒くなったら乗らなくなるんだろガキが。俺は雨の日も雪の日も台風の日も、バイクしか足がなかったからそれで通ってたっちゅうねん。
なにが楽しいならボケが。人に迷惑かけるのが青春じゃあるまいし。何なの。馬鹿なの?死にたいの?くそDQNが。あーなんかムカついてきた。
 
うっさいんじゃボケ!子どもが寝とんのじゃカス!人に迷惑かけずに死ねや!
 
それは、つい口をついて出た言葉で、勢い余って言ってしまった感が120%だった。
だもんで、信号待ちするのをとりやめて、すぐに横の路地に入って、勝手知ったる住宅地を抜けて家に帰った。
 
全力のマッハダッシュで家に帰ったもんだから、家に入ってからもしばらく興奮していて、家にいた姉ちゃんに
「本屋の駐車場で死にかけたぞボケ」
といったら、
「死ねば良かったのに」
と返され、うむ、確かにその方が良かったのかも知れないと思った。
いったい今日は何がしたかったんだろう。今日は希に見る厄日だったのかもしれない。
 
いつになったら陽気に口笛吹きながら、スキップなんてしつつ和やかに過ごせるのだろう……。
いやいや、心にゆとりがなくとも、下手くそな口笛吹きながら不適な笑みでも、リズム感のないスキップでも実際やってみたらいいじゃない!
馬鹿か俺。馬鹿だったよ。でも今一つ賢くなった気がするぜ☆
 
好きは好き、クソはクソ、ちゃんとトイレに流したら、また食べてうんこ溜めたらいいじゃない♪