命日

形にならない形だと知った 何度もどうすれば良いかと考えた
長い時間を貴方に捧げるのもありかと考える
どうすることが一番良いのか 答えもだせずに時間だけが過ぎて行く
まだ見ぬ貴方を無条件に愛しはじめ 自分勝手な考えな気がしてくる

思い出してはあの日の行動をやり直したいと願う
過ぎ行く時間の中 酒に逃げたりもした
一人じゃなにもできない貴方一人すら守ることができない
自分がとても小さくて悔しい

輪廻転生があったとしても貴方は貴方一人しかいない
素晴らしき奇跡によって生まれた貴方を己の我儘の為になかったことにしてしまおうとした

晴れ渡った真夏の空に太陽が照りつける
熱い何かが胸の奥の方から込み上げてくる
儚い命が消えてしまった日
一度も貴方に会えぬまま 貴方はいなくなった

儚い愛の結晶
こぼれる声を押し殺して僕たちは求め合った
まるで獣のような僕の未必の故意
何度も考えたけれど僕は貴方を生かす自信がなく
貴方を愛し続ける自信もなく 貴方の存在が恐かった

まだ見ぬ貴方を恐れて 暫く現実逃避したりもした
ギラギラと照りつける太陽が僕を詰っているようで
貴方を愛することが出来なかった後悔が込み上げてくる
今更だけれど出会えなかった貴方を無条件で愛している

貴方が在ればこの想いもまったく違ったものになっていたはずで
僕はそのことを忘れちゃいけないと切に想っている
時は必ず過ぎ去っていろんな想いを風化させる
僕は貴方のことを忘れてはいけないのに忘れてしまいそうで
今からこんなことを考えている僕はなんて薄情者なのかと貴方に恨まれてしまいそう

今この胸にある貴方を守れない無力な僕の想いは忘れちゃいけない
尊い命を 命の鼓動を 消してしまおうとしたことを忘れちゃいけない

貴方を殺そうとした僕を恨むのは必然のことで 僕はそれを許して欲しいとは思わない
貴方が生きたいと願うことも必然で 貴方を守ることが出来なかった僕を憎んでも
貴方を守ろうとした母親の愛があり 母親を憎まないで恨まないでいて欲しい

もしも貴方が在れば 貴方は天使できっと誰からも愛される存在になったはず
無限の可能性を秘めた貴方は眼に映るモノに期待や不安、喜びや怒りを感じて大きくなっていたはず

もしもなんて考えても何の意味もなく僕はまたこうして現実逃避している
この手で尊い命を 儚い鼓動を 無理矢理止めることを決めたのに
今この胸にある貴方を抱けなかった想いを僕は忘れずに生きていかなきゃ
貴方に本当申し訳なくて 今こうしてその誓いをココに記す

貴方が突然いなくなったと知った朝に記すこの想いを僕は忘れずに生きていく

尊い生命 消すことを決めていたのに 意図せず消えた時 僕は実感が沸かなかった
8月29日 夜もまだ明けきらぬ刻に貴方はまだ誰からも愛情を受け取ることなく消えてしまった
生まれて初めて誰かを愛していると気づいた日なのに もう貴方はこの世にいない
愛してる 愛してた 愛しい我が子