話合#2

 明日は前に務めていた会社へと出向き支払われていない割増賃金の請求に対する話合が行われる。事実問題として、自分が入社してから二日分しか時間外労働の給料が支払われていないのだから、当然んのこととして未払い分全額を支払って欲しいのだが、金額が金額なだけにそうもいかないというのが世の中の不条理なところ。まぁどうしても支払って欲しいのならば刑事裁判にもっていけばいいのだけれど、裁判費用を考えると元割れしちゃうのがオチだと思い、自分は交渉術の基本であるある手法によってその話合いに赴くつもりでいる。しかし、今回の話合の席はちと自分にとって不利な状況下での話合の場となっている。
 それは、まずは、場所が相手のホームグラウンドというべき会社内であるということ。次に、相手と自分の交渉に関する知識やレベルの差。さらに、中立の立場である労働局の人が今回不参加であるということである。
 その三つがネックとなっているのは事実である。なぜならば、会社という相手のホームグラウンドに一人赴き、交渉などに関してなれている相手と素人の自分が中立の立場である労働局の人がいない状況で初めに思い描いていた作戦通りに話せるかといえば、かなり高いわりあいでムリということが言えるだろう。
 しかし、そういった不利な状況下でも自分はそういう立場におかれる自分がどういった行動をとるのかという期待に、ドキドキ、ワクワクしてしまう生物だったりする。そんな自分がそういった状況に立ち向かうべく考えた浅はかな考えは、話合の席なのに、自分が要求する全てのことを文面で提示し、出来る限り早くその状況から逃げ出す。というものである。そうすれば、始めに自分が交渉術の基礎的方法として考えていた作戦としても、不都合はまったくもってでてこないだろうと考えたからである。
 そう、中立の立場の者も、こちら側の立場の人間もいない状況下で大勢の敵と対等に渡り歩くことは熟練度を必要とすることだと自分は思っている。だから、出来る限り相手の術中にはまるまえにその場を離れるということはこの場合とても利口な考えであると自分は考えたのである。また、文面で提示することにより、その文面に墓穴がなければ、口頭による墓穴をとることが少なくなり、またその場を離れるまでの時間が短くなると考えられるからである。
 はてさて、この作戦は上手くいくのだろうか。次の報告にて記せればと思っている。