写真日記@ミサンガ366日目

日付も変わって午前1時間頃のことだった。
郵便受けがカタカタなっていた。その音に反応して犬も吠えだして、玄関の前まで行って警戒している。
外は強い風でも吹いているのだろう。初めはそう思った。
 
しかし、風が吹いているにしては、断続的に音が鳴っているし、郵便受けがカタカタと動くくらいの風ならば、私の部屋の窓にも強い風が吹き付けているはずだが、そうではない。
ちと気にしていると、カン、カン、カンと玄関へと階段を上がってくる足跡が聞こえてきた。
こんな時間にいったい誰だだ。もしかして、家族はもうみんな帰ってきている。
逆に、誰かが出かけるよう準備しえいた様子もない。犬が吠え続けている理由も説明が付かない。
 
もしかしたら、誰かが夜中なのにゴミ出しにでも出て帰ってきたのだろうか。
いや、隣の部屋を覗けばいるし、母ちゃんはとっくに寝ていた。なら、いったい誰だ?
急に全身が凍り付くような寒気に襲われた。招かざる訪問者が来たと瞬時に判断したからだ。
 
足音が一瞬、止まった。登り切ったのか?いやまだ聞こえる気がする。ついに止まった。
ちょうど部屋から玄関を見下ろせる部屋だったので、勇気を出して覗いてみた。必要ならば戦闘準備もせねばならない。
向こうに気づかれないようにしなくては。
 
早くなる鼓動を抑えつつ、見下ろしてみた。
誰もいない。
 
もしかしたらまた聞こえるかもしれない。耳も澄ます。聞こえない。
窓をあけ、身を乗り出してみる。誰もいない。
今外に出れは、おいつけるか。
いや、不確定要素があるかぎり深追いは禁物だ。
いくつかの自問自答をし、特に何かあったというわけではないのでそのまま寝ることにした。
 
その日の夜、なんとなく、こんな事があったと話したら、姉もその音を聞いたと言っていた。
他はみな、寝ていて気づかなかったという。
気づいたんだったらもっと早く言えよ。もし押し入り強盗だったら、盗るものなくても命が取られてたかもしれないじゃないか。
ネガティブな思考が多いが故に、最悪の状況をも考えがちな自分としてはそんなことさえ考えてしまう。
入られてからでは遅い。入られる前に防がなくては。
今夜も聞こえてくるのだろうか姿なき訪問者の足音が。
 
まぁ、幽霊は怖いが今まで心霊体験はしたことないし、この家にきてからもだいぶ経つが経験はないので、そちらのたぐいではないだろう。
足音をできるだけ立てないようにしていたので、酔っぱらいでもないだろう。
郵便受けは高い位置にあり柱のようなものに取り付けられているので、猫などの動物でもないだろう。
やっぱり人間が一番怖い。