室内犬はフローリングに気をつけろ。

室内犬はフローリングに気をつけろ。
という話はよく聞いていた。が、実際の所なんの対処もしていなかった。
 
そんな今日、夕方になり玄関の呼び鈴が鳴ったと同時に飼い犬が反応して吠えながら走り出した。
いつものことである。
が、しかしいつもとどこか様子が違う。すぐに座り込んでしまった。
来客を対応し、戻ってみるとやはり何かおかしい。
 
名前を呼び、近くへ来ようとするが二三歩歩くと座り込んでしまう。
次は部屋を出ようとしてみて、もう一度来させてみる。
 
左後ろ足が浮いている。
 
一気に寒気がした。やばい。折れてるかも。
そういやフローリングで犬が骨折するという話を聞いたことがある。
どうしよう。
そんな考えが一気に頭の中を駆け巡る。
 
とにかく、折れているか確かめてみよう。
 
と、かばう左後ろ足を触ってみるが、そこまで嫌がることはなく、間接はちゃんと動いている。
だからといって素人の判断ではどうしようもない。
すぐに母ちゃんに電話をかけるが出ない。こういう時に限って忙しいのかもしれない。
会社用の携帯も事務所の電話番号も知らない。タウンページにも載せていない。
こんなことならば事務所の電話番号ちゃんと聞いておくべきだった。
今更悔やんでも仕方がない。時刻は既に17時を回っている。
こんな時間に近くの動物病院やっているのか、否、車すら親戚に貸していて移動手段すら徒歩しかない。
 
何度目かの電話でようやく母ちゃんと連絡がついた。
犬の骨が折れたかもしんないと伝えるとすぐに母ちゃんの対応が変わった。
みんな犬が大好きなのだ。家のアイドルなんだ。
 
とにかく、犬を抱いて近くの動物病院に向かった。
幸い、通りに出て直線上に新しく動物病院ができたばっかりだ。前にどんな感じが行ったこともある。
でも抱いたまま走ってしまったら痛がるかも知れない、歩いた振動でも痛いだろう。
とにかく急いだ。こんな時の信号の待ち時間は長い。いつもならば苛つきながらも待っている信号を無視って急いだ。
 
もし行って、病院が閉まっていたらどうしよう、次に近い病院はどこだ。
とにかく急ごう。
あ、病院が見えてきた。なんて可愛らしいデザインの看板なんだ。開いている。助かった。
 
すぐに駆け込み、事情を話す。もはや半泣きの俺。
とにかく落ち着けと言わんばかりに、待合室で待っとけと言われた。
でも他に患者もなく、すぐに呼ばれた。
 
診察台に乗せられてびびる犬の顔をなでて、先生に見てもらう。
「折れてはいないようですね。」
良かった。その言葉にほっと胸をなで下ろす。
「ちょっと痛いことをしますよ」
と何かした。
 
どうやら、折れてはいない。靱帯も切れているわけではなさそうだ。という話。
大事をとってレントゲンも撮っておくかという話をしているところへ母ちゃん登場。
 
飛びつく犬。
もはや、私と先生は犬にとって敵であるよう。
 
写真をとってもらい、見てみると、やはり骨折しているわけではなく、靱帯も写真では完璧に判断できるわけではないが、切れてはいない。
ただ、小型犬やデブ犬特有の症状として、膝のお皿が横にずれている。そこへ滑ってころんで痛めたのだろう。
靱帯まで切っていたら足を上げたままになっていただろう。切れていないから、痛いなりに足をつくことはできる。
痛み止めを飲ませて様子を見よう、それでも痛がる様ならもう一度連れてきてください。
それと、小型犬の上にちょっぴり太めなので、ダイエットもしましょう。
安静にしてダイエットというので矛盾点が生じますが、ちょっとずつ食べ物を減らしていく食事療法をしましょう。
 
ということで帰ってきた。
家の犬は家の中では落ち着きがない。
母ちゃんの後ろを常について回るし、飛び跳ねることもする。誰か何かを食べていると欲しがる。
何かあるとすぐに駆けていき吠える。
こんな状態では安静になどできない。
 
ゲージに入れても出せコノヤローと飛び跳ねる。出しても母ちゃんの後をついて回る。
来客があれば走って吠える、誰もいなくなればようやくおとなしくなる。
夜中は夜中で、ちょっとした内外の音に反応して吠えることもある。
 
この状況でいかに安静に過ごせるというのだろうか。
早いところ治って欲しいは二三日ですぐに回復するような痛みではないだろう。
痛いくせに歩いたり、走ろうとまでするのは如何なものか。
 
あぁ、早く治らないかぁ。とにかく心配していても、時間の流れは同じで、どう足掻こうが、何に祈ろうが、すぐには回復しない。
そしていつも通り、腹は減り、しなくてはならない用事も発生する。
頭では解っていても、そんなことが目の前で起こり慌ただしく過ぎ去っていくと、妙にリラックスなどできずテンションもおかしくなってしまう。