美しい想いで

 久しぶりに家族揃って夕ご飯を食べた。前の晩からフキや里芋の煮物を母親が作っており、ご飯も四合炊いていたのだが、ふとしたことから近所の安い焼肉屋に揃って出かけた。そこは安いことだけあって、先日彼女と食べた焼肉には劣る質で、腹が張ってもなんだか物足りない。まぁそんなことはどうでもいい。旨いものを喰えるほど羽振が良い生活ができているわけではないのだから。
 そして、その焼肉屋で働いている女の娘が高校時代に好きだった二個下の女の娘にかなり似ていた。もしかしたら本人なのかも知れない。しかし、苗字が書かれた名札を見たら違っていたのだが、家庭の環境とかで変わることは充分ありえるわけでどうなのか本人に尋ねてみなければ結局のところは判らないのだけれどね。その娘を見てあの頃の淡い想いを思い出したのだった。
 しかし、少しショックなことも同時に起こった。それはそんじょそこらへんを歩いている女の娘がそうだとしても大したことはないのだが、その娘の“ブラジャーが白い制服から透けて見えていた”こと。それだけを言えば現代ではよくあることで、学生時分も当たり前のように夏服に透けたブラジャーを見ており、時にはお腹まで見えたりしたものだ。けれど、中には下にシャツ等を着てそれを防止する者もいる。自分的にはそういった者の方が性格的にしっかりしたような感じがして好きで、あの頃少しでも「良いなぁ〜」とおもった娘の大抵はそういう娘だった。そして、焼肉屋で働いているその娘にも同じように期待していたのかも知れない。
 その思いと裏腹にブラジャーが透けているのを見てしまった自分は何だかフラれた気分になり、軽くショックを受けたのだ。
 あ〜あの娘は今頃何してんのかなぁ。