小さな物語#7

二月七日月曜日

 黄昏ているとも、何か考え事をしているとも取れるその横顔で窓の外を眺める眞子の姿は以前も見たことあるような気がした。窓から流れ込むまだまだ寒い二月の風に薄っすら茶色がかった髪は靡き、生徒達と変わらない低めの身長でも、黒のパンツと赤いセーターが生徒とは明らかなに違うことを物語り、その存在感に掃除道具を片付けにきた少年も直に気がついた。
「これで全部?」
 少年が来たことに気がつき振り返った眞子は笑顔を見せ尋ねた。
 少年は首を縦に振った。いつも首を振るだけで返事をする少年の返事を知るには常にその態度を見ていなければならないことにもすっかり慣れた眞子は
「ごくろうさん」
 といつものように労った。