何もかもが嫌な時に

書くのも億劫なほど、何もかもが嫌な時ってある
求人情報を眺めながら酷く自分が嫌になる
前々から嫌だったことを口にして訴えても
聞く耳も持たず、話を逸らされて酷く嫌になる
大声で叫び倒したいけれど、近所迷惑だからだと我慢する自分が嫌になる
動作だけでもと大口開けたら乾いた唇が割れて空しくなる
これから先に何一つとして楽しいことが待っていないような気がしてきて、浴槽の中で大声を出して暴れてみても
その音に犬が吠え出してその声も嫌になる
すべてを受け止めて笑い倒せるほど器もでかくない
「良いんだよ」と甘えさしてくれる人もいない
酒でも飲んで何もかも忘れたいけれど、金もなければ呼び出す相手もいない。
何もかもが嫌なのに全てを叩き壊せるほどの行動力も肝ない
何もしなくても時は経ち、もうどうでもよくなってしまう
今のこの苛立ちも嫌だと思っていることも何も感じなくなり考えなくなってしまう
甘ったれた自分が酷く嫌だ
理由も明確でなく、納得も理解もできないことで自分の部屋に追いやられるのも嫌だ
自分の家で自由に居れないのが嫌だ
決意も空しく自分に甘い自分が嫌だ
覚悟も決意もないのに解ったような気になっている自分が嫌だ
息を止めて浴槽に潜り、鼻に水が入っただとか、息が続かなくて苦しいだとか顔を上げる自分が嫌だ
頭の中に思い描く何もかもが嫌だ何もかもをグチャグチャにかき混ぜて再び飲み込む
どす黒くドロドロのそれを殴りつけ踏みつけて唾を吐き捨てて靴についたそれにまたイラついてしまうんだろう
そんなことを考えて行動しない自分も嫌だ
乾いた唇を舐めてすぐに乾く唇も嫌になる
なんで君は東京にいるんだい?こんな気分の時には君と一緒にいたいぜ。僕は煙草を買いに行くと家をでたけれど、ちょうど宅配便の人と出くわして着払いの料金を払いながら、こんな所で立ち止まっている場合じゃないと重いながら、地震でもおこりそうなほど赤い月を見上げて家に帰るタイミングをつかめないまま二本目の煙草をすい始めたところでまた、肋骨が重なり合う胸の真ん中あたりがキシキシと痛んでまた嫌になる。
こんな時は大声で叫び倒したい。こんな時には浴びるほど酒を飲みたい。こんな日は君と一緒にいたいんだぜ。こんな日には何をしたらいいのか解らないんだ。
いつでも僕はここにいるのに、こんな時に限って誰もこないんだ。こんな時に限って誰も都合がつかないんだ。
地球を何度も踏みつけても地球は壊れはしなかったよ。
夜に泣いたあの季節は今の僕を創造したけれど、想像できていたのだろうか。
掴み取ろうとした明日は、今の僕を創造したかったのだろうか。
今の僕は何処を目指して歩いているのだろうか。目的もなく当てもなく何処まで行くのだろうか。
此処ではない違う何処かへ行きたいと思いながら、この生温い空気がそんなにも居心地がいいのか。
何もかもが嫌な時にスッキリするほど夜をぶっ飛ばしたい