剃り込み禁止


 日本高校野球連盟の脇村春夫会長は26日、野球部員がまゆ毛にそり込みを入れたり、茶髪にしたりすることを禁止し、校則違反の指導を徹底するように、各都道府県の高野連を通じて、異例の通達を出した。

 これはひょっとすると、少年たちの野球離れに拍車を駆けることになりかねないのではないだろうか。
 小学生は別としても、眉毛のお手入れが既に当たり前のように行われている現代の日本に置いて、思春期の中高生が眉毛のお手入れをしないわけがないだろう。実際、自分が通っていた高校において、一番眉毛の手入れが行き届いていた男共は、野球部員であった。
 その背景は知らないが、恐らく、丸坊主が部の決まりであるような野球部はそれがないソフトボール部などらと違って髪のセットなどが出来ないともなれば、残った毛は眉毛や髭、さらには陰毛くらいのものである。そして、時代は眉毛や髭のお手入れをするのが当たり前となった現代。野球部員が眉毛のお手入れに精を出すのは必然だったのかもしれない。

 それが、今回の通達によって野球少年たちが、
丸坊主は最近、芸能人でもやっている人が多くなって見直されているからまだマシだとしても、唯一のおしゃれの方法を奪うなんて、もうどうせプロにもなれないのだし、野球なんて辞めてやるぜぇ!」
 となってしまうのではないかと自分は懸念するのである。

 夏休み。NHKのお昼のニュースを見るつもりだったのに、甲子園の試合中継がされていた。今日が試合だからだろうか、坊主にしたてというのが解るくらいの高校球児が顰め面眩しそうにしながら歌う高歌を映し出していた。特に野球に興味の無い自分は直にチャンネルを変えたのだが、その時に高校球児たちの頭を丸めたであろう床屋さんの姿を想像して笑みを浮かべたものである。
 「そうか、明日試合か。そしたら、おばちゃん(おじさん)気合を入れてあげるね」
 と言ったのかどうかは知らないが、そのおばちゃん(おじさん)の気合いは高校球児たちの眉毛を細く剃刀で剃り入れた様子から見て取れた。

 この通達によって、野球少年たちの野球離れが進むのと共に、床屋さんは高校球児の眉毛を無闇にそれなくなってしまうことが懸念される今日この頃である。