小さな物語#9

二月九日水曜日

 今日は、今日はクラスの殆どの者が入試の為に欠席している。その為に休み時間になってもいつもとは違って三年生の階全体が物静かなかんじがする。もしも、インフルエンザなどで学級閉鎖になるような時でもそのまま授業が行われたならばこんな感じなんだろう。
 その為に掃除も一苦労だ。人手が足りない分今入る人数で補わなければならない。別に今日だけは手を抜いてやってもいいのだが、ヘンな所が真面目な少年は掃除の終わりを告げるチャイムが聞こえると、慌てて掻き集めたごみを塵取りで取ると階段を一気に駆け上がった。
 L.L.教室まで行くと、既に眞子はドアの鍵を閉めた後だったが、少年が掃除道具を持っているのを見ると、閉めたばかりの鍵を再び開け、笑顔で
「ごくろうさん」
 と労った。